Webサイトは、「自由に触れる」ほうが親切だと思われがちです。
管理画面で何でも編集できる。コードも触ろうと思えば触れる。
一見すると、柔軟で良さそうに見えます。
ただ、実務の中で感じているのは、触れる範囲を決めていないサイトほど、壊れやすいということです。
「触れる」と「触っていい」は別
最近よく感じるのは、この2つが混同されているケースが多い、という点です。
- 触れる(技術的には可能)
- 触っていい(運用上、想定している)
AIの普及によって、コードを書く・修正するハードルは確実に下がりました。
その結果、正しそうなコードを、正しくない場所に入れてしまう、という事故も以前より起きやすくなっています。
管理画面を作り込みすぎた結果、起きたこと
過去には、管理画面でほぼすべて編集できる、親切なUIを目指したサイトもありました。
「これなら困らないだろう」と思って作ったものです。
結果として起きたのは、
- 触らなくていい項目まで触られる
- 意図しない表示崩れ
- どこを直せばいいのか分からなくなる
という状態でした。
「編集できる=編集していい」という誤解を生んでしまった、という反省があります。
HTMLは触れていい、CSSやJSは触らないほうがいい
今は、かなり割り切って考えています。
- 文言修正
- 軽微なHTML調整
このあたりは、触れていい・触りやすい状態にしておく。
一方で、
- CSS
- JavaScript
- ロジック部分
ここは、基本的に触らない前提で設計します。
「触らせない」というより、触る必要がない状態を作るという感覚に近いです。
触れる範囲を構成で示す
口頭やマニュアルで「ここは触らないでください」と伝えるよりも、
- そもそも管理画面に出さない
- ビルドが必要な領域に分ける
- ファイル構成で役割を分ける
といった形で、構成そのもので線を引くようにしています。
これだけで、事故の確率はかなり下がります。
自由度より「安心して触れる」ことを優先する
自由度が高いこと自体は、悪いことではありません。
ただ、
- 誰が
- どのタイミングで
- どこを触るのか
ここを想定しない自由度は、あとから負債になります。
特に、複数人が関わるサイトほど、「触れる範囲」を決めておくことが重要です。
AI時代だからこそ、線引きが必要になった
AIによって、コードを書く、修正案を出す、調べながら直すことは誰でもできるようになりました。
だからこそ、
- 触っていい場所
- 触らないほうがいい場所
を決めておかないと、善意の修正で壊れるケースが増えます。
まとめ
サイトを壊れにくくするために必要なのは、高度な技術や複雑な仕組みではありません。
- 触れる範囲を決める
- 役割を分ける
- 安心して触れる場所だけを用意する
それだけで、運用はかなり楽になります。
最近は、「どこまで自由にするか」よりも、「どこを自由にしないか」を先に考えるようになりました。