アニメーションを入れる前に、いつも考えていること

Web制作やフロントエンドの話をしていると、
「ここ、アニメーション入れますか?」と聞かれることがあります。

正直に言うと、
私はアニメーションを積極的に入れたいタイプではありません。

ただしそれは、
「アニメーションが嫌いだから」ではなく、
入れる意味がある場面が限られていると思っているからです。

この記事では、
実務の中で私がアニメーションを入れるかどうか判断するときに、
考えている基準を整理します。


前提:アニメーションは装飾ではない

まず前提として、
実務におけるアニメーションは
「雰囲気を良くするための装飾」ではありません。

意味のあるアニメーションは、
情報を分かりやすくするための補助です。

この前提がないまま入れると、
ほぼ確実に「なくてよかった」という結論になります。


アニメーションを入れてよい(必要な)ケース

1. 操作できることを伝える(ホバー・フォーカス)

これは例外なく意味があります。

  • ボタン
  • リンク
  • クリック可能なカード
  • メニュー項目

ホバーやフォーカス時に変化があることで、
「触れる」「操作できる」ということが直感的に伝わります。

派手な動きは不要で、
色・影・わずかな移動だけで十分です。


2. 状態が変わったことを伝える(状態変化)

  • 開いた/閉じた
  • 表示された/消えた
  • ON/OFF
  • 選択された/解除された

状態が切り替わる瞬間に
一切のアニメーションがないと、
ユーザーは「今なにが起きたのか」を見失います。

0.2〜0.3秒程度のトランジションがあるだけで、
状況がとても分かりやすくなります。

これは
見せたいからではなく、分からせるためのアニメーションです。


3. 処理中・待機中を伝える

  • ローディング
  • 送信中
  • データ取得中

画面が静止したままだと、

  • 止まった?
  • クリックできてない?
  • 失敗した?

という不安が生まれます。

ここでのアニメーションは、
ユーザーを安心させるためのものです。


4. 視線誘導(ここを見てほしいとき)

  • ファーストビューで一番伝えたい要素
  • CTA(お問い合わせ、購入など)
  • フォームの次のステップ

ただし、条件付きです。

  • 1画面につき1箇所まで
  • 常時動かさない(初回のみ、1回だけ)

ここを守らないと、
すぐに「うるさいUI」になります。


5. 空間的な関係を伝える

  • モーダルがどこから出てきたのか
  • サイドメニューがどこに隠れていたのか
  • アコーディオンがどの方向に開いたのか

アニメーションがあることで、
「どこから来て、どこに消えたか」が理解できます。

これは演出というより、
位置関係の説明です。


6. 初回だけの理解補助

  • 初回訪問時のガイド
  • 操作チュートリアル

毎回動く必要はありません。
むしろ毎回動くと邪魔になります。

初回限定・一度きりであれば、
入れる意味はあります。


逆に、入れないほうがいいケース

  • なんとなく今風だから
  • 画面が寂しいから
  • 理由を言語化できない
  • 常時動き続ける
  • 表示速度や安定性を犠牲にする

このあたりは、
だいたい後から消したくなります。


判断基準は、これだけ

アニメーションを入れるかどうかは、
最終的にこの質問で決めています。

「これ、動かないと“分からない”か?」

  • 分からない → 入れる
  • 分かる → 入れない

とても単純ですが、
これでほとんど迷いません。


なぜ私はアニメーションを最小限にしているのか

アニメーションは、

  • 実装コストが増える
  • 検証範囲が広がる
  • 将来の修正が面倒になる

という側面もあります。

動かさなくても成立するなら、
動かさないほうが長く安定して運用できます。

静かなUIのほうが、
結果的にトラブルが少ないことも多いです。


まとめ

  • ホバーや状態変化は、ほぼ必須
  • 処理中や待機中の動きは安心感につながる
  • 視線誘導や説明目的なら限定的にアリ
  • 理由を説明できないアニメーションは入れない

アニメーションは、
多ければ良いものではありません。

「分からせるために必要かどうか」
それだけを基準に判断しています。