AI時代の開発環境

ここ1〜2年で、
開発環境を取り巻く状況はかなり変わりました。

Claude Code、Codex、各種AIエディタ。
「AIを使うかどうか」ではなく、
どう付き合うかが問われる段階に入ったと感じています。

今回は、
実務で開発をしている立場から、
AI時代の開発環境について思っていることを整理してみます。


AIは「考える代わり」にはならない

最初に書いておくと、
AIがあれば設計や判断をすべて任せられる、
とは思っていません。

  • 要件をどう解釈するか
  • どこをシンプルにするか
  • 何をやらないか

こういった判断は、
結局のところ人がやる必要があります。

AIは便利ですが、考える作業そのものを代替する存在ではないという前提で使っています。


開発環境は「速く書く」より「迷わない」が大事

AIツールを使うと、
コードを書くスピードは確実に上がります。

ただ、実務で効いてくるのは、

  • 書く速さ
    ではなく
  • 迷わないこと

だと感じています。

AIを使っていても、

  • どのファイルを触るか
  • どこに処理を書くか
  • この実装は本当に必要か

ここが整理されていないと、
結局あとで手戻りが増えます。


AIが一番役立つのは「下書き」と「確認」

今のところ、AIが一番役立っているのは次のような場面です。

  • 定型的なコードの下書き
  • 書き方を忘れたときの確認
  • 単純な変換や置き換え
  • 「この書き方で問題ないか」の壁打ち
  • 他人が書いたコードを追うときにも楽

ゼロから完成品を作らせるというより、
自分の考えを形にする補助として使うのが、
いちばんしっくりきています。


現在使っているAI系ツール(開発)

Cursor(エディタ統合型AI)

現在、開発で一番使っているのが Cursor です。

もともとは GitHub Copilot を使っていましたが、エディタ全体とAIが一体化している点が自分の作業スタイルに合い、徐々に乗り換えました。

  • 既存コードの文脈を踏まえた提案が出やすい
  • 修正・補完の意図が分かりやすい
  • 「どこを直そうとしているか」を把握しやすい

直近の編集内容や新規ファイルの追加、
依存関係、関数定義、これまでの実装パターンなどを踏まえた上で、
全体を理解した前提の返答が返ってくる点も大きいです。


Codex

Codex は、少しまとまった処理やロジックを考えるときに使うことが多いです。

  • 実装方針を整理したいとき
  • 考えを文章で壁打ちしながらコードに落としたいとき
  • 書き始めの下書きを作りたいとき

また、そこそこ大規模な改修を行う際にも使えると感じています。

  • 散らばっている処理をまとめたいとき
  • 同じようなロジックを整理・統合したいとき
  • コード全体を見直して、きれいにまとめたいとき

すべてを一気に任せることはしませんが、方針整理や下地づくりとしては十分に実用的です。


Claude Code(ときどき)

Claude Code は、コストがかかるため常用はしていませんが、「ここはしっかり考えたい」「精度を優先したい」という場面で使っています。

特に Opus は、実際に使ってみてかなり高性能だと感じました。

  • 長めのコードでも文脈を保ったまま読み解いてくれる
  • 処理の意図や設計上の癖を汲み取った説明が出やすい
  • 散らばっている処理をまとめる提案ができる
  • 大きめの改修でも全体像を崩さず整理できる
  • コードを「動く状態を保ったまま」きれいにしていける

開発以外の業務で使っているAI

開発以外の業務では、
主に ChatGPT を使っています。

  • 記事構成の整理
  • 文章の下書きや表現調整
  • 考えが散らかっているときの壁打ち
  • 判断に迷っているときの整理
  • 資料作成
  • 文章校正
  • 仕様書の作成

コード生成にも使えますが、開発以外ではどちらかというと思考や文章を整理するための相手として使うことが多いです。


コード生成とモデルについての感覚

もちろん、
ChatGPT もコード生成に十分使えます。

一方で、コードを書かせる・ロジックを組み立てる用途に限ると、
現時点では体感として、

  • Claude Sonnet / Opus
  • Codex

といったモデルのほうが、開発に特化している分、出番が多くなります。

ただし、どのモデルであっても、

  • そのまま使う
  • 理解せずに採用する

ということはしていません。

あくまで、自分の判断を前提にした補助として使っています。


開発環境を複雑にしすぎない

AI時代だからといって、

  • 新しいエディタ
  • 新しいフレームワーク
  • 新しい設定

をすべて取り入れる必要はないと思っています。

むしろ、

  • 何が起きているか分かる
  • どこを触っているか分かる
  • 何かあっても戻せる

こうした状態を保てる開発環境のほうが重要です。

AIは、既存の環境に足す存在であって、すべてを置き換えるものではないと感じています。
それも時間の問題かもしれませんが…


AIを使うほど、基礎の理解が重要になる

AIがコードを書いてくれる分、

  • そのコードが何をしているか
  • なぜその実装になっているか

を理解していないと、
逆に危険だと感じる場面も増えました。

AIを使うほど、
基礎的な理解や読み解く力が必要になる
というのは、少し皮肉ですが事実だと思います。


AIがあるからこそ「やらないこと」を決める

AIを使えば、以前より簡単にいろいろなことができるようになりました。

だからこそ、

  • 今回はここまでで十分
  • それ以上はやらない
  • 後で必要になったら考える

といった線引きをしないと、
実装がどんどん膨らみます。

これは、
AIがあるからこそ、
より強く意識するようになった点です。


まとめ

AIによって、
開発のやり方は確実に変わりました。

ただ、

  • 判断する
  • 線を引く
  • シンプルに保つ

このあたりの重要性は、
むしろ以前より増していると感じています。

AI時代だからこそ、
開発環境は「何を足すか」より、
「何を複雑にしないか」を意識する。

今のところ、
そのほうがうまく回っています。