Webサイトの相談を受けていると、「できるだけ長く使えるサイトにしたい」という声をよく聞きます。
ただ実際には、すべてのサイトが“長く使われる前提”で作られるわけではありません。
サイトには、最初から役割や使われ方が異なる大きく2つのタイプがあると考えています。
結論
長く使われるサイト と 短期前提のサイト は、目的や使われ方を最初に整理したうえで、作り分ける必要があります。
どちらが良い・悪いという話ではなく、前提を間違えると、無駄なコストや手戻りが発生しやすくなるという点が重要です。
長く使われるサイトとは
以下のような目的を持つサイトです。
- 会社や事業の情報を継続的に伝える
- サービス内容を随時更新していく
- お知らせや実績を積み重ねていく
- 数年単位で使われることを想定している
このタイプのサイトでは、「今きれいに見えるか」よりもあとから内容を直しやすいかどうか が重要になります。
考えておきたいポイント
- 情報が増えても整理しやすい構成か
- 担当者が変わっても更新できそうか
- 内容の差し替えや追加が前提になっているか
- 将来、少し作り変える余地が残っているか
長く使われるサイトは、少しずつ育てていくもの という考え方が合っています。
短期前提のサイトとは
一方で、次のような目的のサイトもあります。
- キャンペーンや期間限定の告知
- 採用活動のための特設ページ
- イベントや一時的な取り組みの紹介
- 今ある情報をまとめて伝えるためのページ
これらは、役割が終わったら更新しなくなる可能性が高い サイトです。
この場合、将来の拡張や複雑な仕組みを最初から用意すると、かえって負担になることがあります。
割り切って考えたいポイント
- 目的がはっきりしているか
- 修正が最小限で済む構成か
- 管理や運用の手間が少ないか
- 必要以上に作り込んでいないか
短期前提のサイトでは、分かりやすさと手軽さ が優先されます。
前提を間違えると起きやすいこと
実際によくあるのが、次のようなケースです。
「とりあえず今の情報を載せるだけ」として作ったサイトが、
後から事業の変化に追いつかなくなってしまう。
最初は、
- 更新はほとんどしない予定
- 情報も固定のつもり
- 一度作れば十分だと思っていた
しかし数年後には、
- サービス内容が増えた
- 掲載情報を整理したくなった
- 修正のたびに時間や費用がかかる
結果として、結局作り直すことになった という相談は少なくありません。
これは作り方の問題というより、「どう使われ続けるか」を最初に整理していなかった ことが原因です。
サイトの使われ方は「中身」で決まる
サイトが長く使われるかどうかは、デザインや仕組み以上に掲載する内容(中身)の扱い方 に影響されます。
長く使われるサイトの場合
- 情報が少しずつ増えていく
- 内容を見直したり書き換えたりする
- 過去のページもあとから参照される
そのため、「今ある情報を載せる」だけではなく、将来変わることを前提にした考え方 が必要になります。
短期前提のサイトの場合
- 掲載内容は最小限
- 更新はほとんど行わない
- 情報の入れ替えも想定しない
この場合は、内容を増やす前提で考える必要はありません。
大切なのは、このサイトの情報は、これから増えるのか、増えないのかを最初に決めておくことです。
この話で伝えたいこと
ここまで読んで、「結局、何を選べばいいのか」と感じたかもしれません。
ただ大切なのは、どんな作り方をするかよりも、どう使われるかを先に考えること です。
- 何年くらい使うつもりか
- 誰が内容を更新するのか
- 将来、作り直す可能性はありそうか
こうした前提を整理したうえで進めることで、無理のないサイトづくりにつながります。
まとめ
- サイトには「長く使われる前提」と「短期前提」がある
- 前提によって、考えるべきポイントは変わる
- 前提を曖昧にしたまま進めると、後で負担が増えやすい
- サイトは作って終わりではなく、使われ方が重要
Webサイトを考える際は、「今どう見えるか」だけでなく、「どう使われ続けるか」を一度立ち止まって考えてみることをおすすめします。