なぜこの話を書こうと思ったか
独立してから、気づけば10年目になりました。区切りがいい数字だから、というわけではありませんが、振り返るにはちょうどいい時間が経った気がしています。
周りを見渡すと、同業だけでなく、異業種でも独立している人がかなり増えました。同級生の話を思い返しても、「雇われて働いている人」のほうが少数派に感じることすらあります。もちろん、これは私のまわりだけの話かもしれません。
それでも、地方で独立して仕事を続けるという選択が、特別なものではなくなってきているのは確かだと思います。
成功談を書きたいわけでも、誰かを煽りたいわけでもありません。ただ、長く続けてきた立場だからこそ、今なら書けることがある気がして、この話を書いています。
地方で独立する前に思っていたこと
正直に言うと、「地方で独立しよう」と強く意識していたわけではありません。
もともと地方在住で、会社を辞めるタイミングで、「とりあえずやってみるか」そのくらいの軽い気持ちでした。
脱サラ、という言葉を使うと少し大げさで、感覚としては、一度会社を離れて、試してみるそれに近かったと思います。
地方か都市部か、という比較も、当時はほとんどしていませんでした。今振り返ると、あまり深く考えずに始めたからこそ、続いている部分もあるのかもしれません。
実際にやってみて分かったこと
やってみて、一番意外だったのは、思っていたより、生き残るのは難しくなかったという点です。
地方は人が少ない分、仕事の取り合いになるだろうと思っていました。ですが実際には、その逆で、仕事を受けきれずに断ることもあります。
もちろん、楽という意味ではありません。ただ、「仕事がまったくない」「どうやって生活しよう」そういう状況には、今のところなっていません。
地方だから厳しい、というより、地方だからこそ成立しているそう感じる場面のほうが多い、というのが正直なところです。
良かった点/厳しい点
良かった点を挙げるとするなら、人間として、少しは成長できた気がする、ということでしょうか。
独立すると、トラブルが起きても、それが不可抗力であっても、基本的にすべて自分の責任になります。
- 予期しない問題- こちらに非がないケース- 環境要因によるトラブル
それでも、最終的に向き合うのは自分です。
正直に言えば、厳しいです。逃げ場がない、と感じることもあります。
ただ、そのすべてを自分の責任として対応する中で、「あ、前より冷静に対応できているな」そんな瞬間が、たまに訪れます。
この感覚は、会社員時代には、あまり味わえなかったものでした。
技術や設計思想にどう影響しているか
地方で独立したからといって、技術や設計思想が劇的に変わったかというと、実は、そこまで影響はありません。
ただし、会社員時代と比べて、やることは確実に増えました。
- 実装- 設計- 運用- トラブル対応- 説明や調整
これらを一人で見るようになった結果、自然と技術力は向上したと感じています。
地方かどうか、というより、一人で責任を持つ立場になったことその影響のほうが、ずっと大きいのかもしれません。
結論
地方で独立することを、誰にでもおすすめするつもりはありません。
今、会社員として安定して働いている人に、無理に勧めるものでもないと思います。
ただ、もしも試せる環境にあるのなら、あまり難しく考えすぎず、まずはやってみるそんな選択も、ありなのではないでしょうか。
少なくとも私は、地方で独立したことを後悔していません。
今も、そう思っています。