技術選定で迷ったとき、まず「やらないこと」を決める

Web制作やWeb開発をしていると、
「どの技術を使うか」という話になりがちです。

Reactにするか、Next.jsにするか。
WordPressか、ヘッドレスか。
jQueryは使うのか、使わないのか。

ただ、実務を続けてきて感じるのは、
それ以上に大事なのは
何をやらないかを先に決めることだということです。


技術は「できる」だけでは足りない

今どきの技術は、調べればだいたい実装できます。
時間をかければ、何でも作れます。

でも、

  • 実装できる
  • 運用できる
  • 数年後も無理なく触れる

これはまったく別の話です。

仕事として作る以上、
「ちゃんと使い続けられるかどうか」は
どうしても無視できません。


つい「せっかくだから」と足してしまう

設計していると、

  • せっかくだから入れておこう
  • 将来使うかもしれない
  • できるならやっておきたい

こういう気持ちになります。

ただ、あとから振り返ると、
トラブルの原因はだいたいこの「せっかくだから」です。

  • 更新が面倒になった
  • 誰も触れなくなった
  • 手を入れるのが怖くなった

技術そのものが悪いというより、
積み上げすぎた結果なことが多いと感じています。


他社制作のサイトを見て思うこと

他の業者さんが作ったサイトを引き継いだり、
中身を見る機会もあります。

例えば、

  • WordPressの記事をすべてJSからAPIで取得し、
    非同期で表示しているサイト
    → 速度は速いが、修正や運用のハードルが高い

  • WordPressの関数をあまり使わず、
    多くの処理を独自実装しているサイト
    → コード量が増え、可読性が下がっている

どちらも、
技術的に間違っているわけではありません。

ただ、
あとから触る人のことを考えると、少し大変そうだな
と感じる場面はあります。


正直、昔の自分も同じことをしていた

こう書いていますが、
自分自身も昔は似たようなことをしてきました。

  • 将来の拡張を考えすぎて作り込みすぎた
  • 標準機能を信用せずに全部自前で書いた
  • 「できるから」という理由だけで実装した
  • 単純に技術力が足りなかった

今見ると、
あまり品質が良いとは言えないコードも普通にあります。

当時はそのときなりに真剣で、
ベストだと思っていました。


jQuery不要論についての個人的なスタンス

少し前に、
「jQueryはもう不要」という話題が出たことがありました。

確かに、今のブラウザ環境であれば、
Vanilla JSだけで困らないケースは多いと思います。

ただ、それと
「jQueryを使うのは良くない」
「もう使うべきではない」
という話は別だとも感じています。

既存コードがjQuery前提だったり、
短期案件でスピードを優先したい場合など、
状況によっては使う判断も普通にありです。

私自身は、ここ数年はVanillaで書くことが多く、
結果として jQuery を使っていない、という状態です。

「使わないと決めている」というより、
今の条件では、あえて使う理由がない
という感覚に近いです。


「やらない」は消極的な判断ではない

「やらない」と言うと、
少し後ろ向きに聞こえるかもしれません。

でも実際には、

  • 不要なものを減らす
  • リスクを下げる
  • 運用をシンプルにする

かなり前向きな判断だと思っています。

むしろ「とりあえず入れておく」方が、
判断を後回しにしていることも多いです。


技術選定は未来の自分への相談

技術を選ぶとき、
最近はこんなことをよく考えます。

  • 半年後にこれを触るのは誰か
  • 説明なしで理解できるか
  • 問題が起きたときに戻せるか

これに自信が持てない場合は、
今回はやらない、という判断をします。


まとめ

技術選定は、
新しいものを足していく作業ではありません。

  • 今回は不要なものを外し
  • 続けられないものを避け
  • シンプルな形を選ぶ

その結果として、
長く使える構成になることが多いと感じています。

だから私は、
技術選定ではまず
「やらないこと」を決めるようにしています。